恋の予感とは― 広島県福山市で生まれた、新時代のおいしさ

「恋の予感」は、広島県福山市で開発されたうるち米の品種です。
名前のとおり、「一口食べた瞬間に恋するようなお米になってほしい」という願いを込めて名付けられました。

このお米は、日本穀物検定協会が実施する食味ランキングにおいて、3年連続で最高評価「特A」を獲得するなど、味・品質ともに高い評価を受けています。冷めてもおいしく、あっさりとした味わいで、日々の食卓からお弁当まで幅広く活躍する現代的な品種です。

恋の予感が生まれた背景

地球温暖化の影響で、かつての主力品種が暑さや病害に弱くなる中、
「より高温に強く、それでいておいしい米」を開発することが求められていました。

そのような気候変動への対応として生まれたのが「恋の予感」です。
耐暑性や病害抵抗性を持ちながらも、高い食味と栽培安定性を兼ね備えた品種として、農家からも消費者からも支持を集めています。

恋の予感の特徴と魅力

やわらかく、もちもちとした食感

「恋の予感」は、他の一般的なうるち米と比べて炊き上がりがやわらかく、粘りが強いのが特徴です。
まるでもち米のようなしっとりとした口当たりがあり、食べた瞬間に「おいしい」と感じやすい、第一印象に優れたお米です。

特に炊きたてではその特徴がはっきりと感じられ、白ご飯だけでも満足感のある食味を楽しめます。

自然な甘みと香り

口に含んだときに広がるのは、穏やかで自然な甘み。
砂糖のような甘さではなく、お米本来がもつ旨味がじんわりと舌に残ります。

また、炊飯時にはふんわりと甘い香りが立ち上り、炊きあがりのごはんそのものがごちそうのように感じられます。
白米が苦手だった方でも、「恋の予感」なら自然と箸が進む――そんな声も少なくありません。

若い世代にも響く“新しいお米”

この品種は、味だけでなく名前のインパクトや物語性も重視して開発されました。
「恋の予感」という名前には、“初めて食べた瞬間に心を奪われるようなおいしさを”という願いが込められています。

そのため、若いご夫婦の贈答用、記念日用、ギフト米などにも選ばれることが多く、これまでのお米にはなかった感性に訴える存在感を持っています。

栽培エリアと広がり

「恋の予感」は、JA福山市管内の南部地域において、約6割の生産者が栽培している主力品種です。
さらに、近隣のJA尾道市管内でも平成28年から栽培が始まり、今では県内各地へと栽培の輪が広がっています。

その栽培面積は年々増加しており、地域の気候に適した品種として、今後ますます需要が高まることが予想されています。

食卓にやさしい、未来志向のお米

「恋の予感」は、甘みや粘りの強い現代のトレンド品種とは少し異なり、控えめでバランスの取れた味わいが魅力のお米です。

和食はもちろん、洋食や中華、丼もの、スパイス料理など多様な料理との相性が良く、食の多様化が進む現代の食卓に自然と寄り添う存在でもあります。

トリニティファームにおける「恋の予感」

トリニティファームでは、「恋の予感」の食味を最大限に引き出すため、
以下のような管理体制で丁寧な栽培を行っています。

  • 岡山県南部の水はけと保水性のバランスに優れた土壌
  • 気候や気温に応じた適切な施肥と水管理
  • 熟期に合わせた適期収穫による品質維持

また、粘りの強さゆえに収穫後の乾燥・調整にも慎重を期しており、炊きあがりの香りと食感を損なわないよう配慮しています。

まだ市場には多く流通していない希少な品種ですが、その味わいと個性、そして育てがいのある性質から、私たちは未来の主役米のひとつとして育てていきたいと考えています。

岡山の地で、気候と土壌に寄り添いながら、一粒一粒にまごころを込めて育てる「恋の予感」。

その出会いが、食卓に小さなときめきをもたらすことを願っています。